最終更新日:2026年11月6日
介護士(介護職員)には、資格がなくても応募できる求人があり、無資格・未経験から働き始めることができます。ただし、訪問介護のように資格が必要な仕事もあり、無資格で介護サービスの事業所に勤める人には認知症介護基礎研修の受講が求められます。
国家資格の介護福祉士を目指す場合は、「働きながら実務経験を積む」「養成施設を卒業する」「福祉系高校を卒業する」の3つのルートがあります。この記事では、介護士になるための始め方と、介護福祉士までの取得ルート、費用を抑えて資格を取るための公的な制度を、国や自治体の資料をもとに整理します。
この記事の要点
- 「介護士」は法律上の資格名ではなく、介護の仕事をする人の呼び方。資格がなくても応募できる求人がある。
- 無資格で介護サービスの事業所に勤める人は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受ける必要がある。訪問介護で働くには資格が必要。
- 介護福祉士への主なルートは「実務経験3年以上+実務者研修」「養成施設」「福祉系高校」の3つ。
- ハロートレーニング(公的職業訓練)や実務者研修受講資金の貸付など、費用を抑えて資格を取る制度もある。
介護士になるには?最初に知っておきたい3つのこと
「介護士」は資格名ではなく仕事の呼び方
「介護士」は、施設や在宅で介護の仕事をする人を広く指す呼び方で、法律で定められた資格名ではありません。介護の仕事に関わる言葉は、次のように整理できます。
- 介護士・介護職員:介護の仕事をする人全般の呼び方
- 介護福祉士:介護職の国家資格。国家試験に合格して登録した人だけが名乗れる
- ヘルパー(訪問介護員):利用者の自宅を訪問して介護をする人
つまり、「介護士になる」は「介護の仕事に就く」こと、「介護福祉士になる」は「国家資格を取る」ことです。目指すゴールによって、必要な準備が変わります。

資格がなくても始められる仕事と、資格が必要な仕事がある
介護施設の求人には、資格がなくても応募できるものがあります。一方、介護保険の訪問介護で働くには、介護福祉士か、都道府県知事が指定した研修(介護職員初任者研修など)の修了が必要です。[1] 応募したい仕事に資格が必要かは、求人ごとに確認しましょう。
資格によって任される仕事や待遇が変わることがある
資格の有無によって、担当できる業務の範囲や、資格手当の有無が変わることがあります。どの資格で何が変わるかは事業所ごとに異なるため、応募時に確認することが大切です。資格ごとの平均給与額は、介護資格の種類一覧で厚生労働省の調査をもとに紹介しています。
無資格・未経験から介護士として働き始める方法
無資格の人は「認知症介護基礎研修」を受ける
2021年度の介護報酬改定で、介護サービス事業者には、介護に直接携わる職員のうち医療・福祉関係の資格を持たない人に、認知症介護基礎研修を受講させるための措置が義務づけられました。3年間の経過措置を経て、2024年4月1日から完全施行されています。新たに採用された無資格の職員には、採用後1年間の猶予があります。[2]
広島市の案内では、研修はeラーニングで受講する形です。[2] 受講の手続きや費用の扱いは事業所や自治体によって異なるため、入職時に確認しましょう。
応募前に確認したいこと
無資格・未経験で応募するときは、次の点を確認しておくと、入職後のミスマッチを防げます。
- 入職後の研修や、先輩が一緒に付いて教える期間があるか
- 認知症介護基礎研修の受講の流れと費用負担
- 資格取得の支援(費用補助、研修日のシフト調整など)があるか
- 資格を取った後、給与や手当がどう変わるか
質問例:「未経験からの応募ですが、入職後の研修はどのような内容ですか。初任者研修などの資格取得の支援はありますか」
初任者研修は先に取る?働きながら取る?

介護職員初任者研修の基本
介護職員初任者研修は、介護の業務に従事しようとする人が、基本的な介護業務を行うために最低限の知識・技術を身につける研修です。長野県の案内では、研修時間は130時間(講義・演習118時間、実習12時間)とされています。[3]
生活援助中心型のサービスに従事する人向けには、59時間の生活援助従事者研修もあります。[3]
先に取る場合・働きながら取る場合の違い
どちらが良いかは、今の状況によって変わります。
- 先に取る:訪問介護など資格が必要な求人にも応募できる。介護の基本を学んでから働き始められる。ただし、受講期間中は収入がない場合がある
- 働きながら取る:収入を得ながら現場で学べる。勤務先の資格取得支援を使える場合もある。ただし、勤務と研修の日程を両立させる必要がある
仕事を辞めていて、これから介護の仕事に就きたい人は、ハロートレーニング(公的職業訓練)で介護の訓練を受ける方法もあります(後述)。
介護福祉士になる3つのルート
ルート1:実務経験3年以上+実務者研修(働きながら目指す)
介護の現場で働きながら目指すルートです。試験年度の3月31日までに、従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上の実務経験を積み、実務者研修を修了すると、国家試験を受験できます。[4] 従事日数は実際に介護等の業務に従事した日数で、休暇や研修の日は含まれません。[5]
無資格・未経験から始める人の多くが選ぶルートで、収入を得ながら資格を目指せることがメリットです。
ルート2:介護福祉士養成施設を卒業する
介護福祉士養成施設(2年以上の課程と1年以上の課程があります)を卒業して、国家試験を受験するルートです。[4]
宮城県の案内では、養成施設を令和8年度末(2027年3月)までに卒業した人は、卒業後5年間は国家試験に合格しなくても介護福祉士になることができ、その間に国家試験に合格するか、5年間続けて介護業務に従事すれば、その後も登録を続けられるとされています。[6] 入学を考えている人は、卒業年度に応じた扱いを学校に確認しましょう。
ルート3:福祉系高校を卒業する
福祉系高校で必要な科目を履修して卒業し、国家試験を受験するルートです。入学した年度によっては、卒業後に9か月以上の実務経験が必要な「特例高校」の扱いになります。[4] 高校生や進路を考えている人向けのルートです。
第39回試験の日程
次の第39回介護福祉士国家試験は、2027年1月31日(日)に実施されます。[4] 2026年1月の第38回試験の合格率は70.1%でした。[7] 勉強の進め方は、勉強時間はどれくらい?介護福祉士に合格するための効率的な勉強方法で紹介しています。

費用を抑えて資格を取る公的な制度
ハロートレーニング(公的職業訓練)
ハロートレーニングは、求職者が仕事に必要なスキルや知識を身につけるための公的な職業訓練です。雇用保険を受給している人向けの「公共職業訓練」と、受給できない人向けの「求職者支援訓練」があり、受講料は無料(テキスト代などは自己負担)です。[8] 介護分野の訓練が設けられている地域もあるため、ハローワークで確認しましょう。
教育訓練給付制度
雇用保険の加入期間などの条件を満たす人が、厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了した場合に、受講費用の一部が支給される制度です。厚生労働省の案内では、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士を目指す講座などが対象講座の例として挙げられています。[9] 給付率や上限額、自分が対象になるかは、受講前にハローワークで確認してください。
実務者研修受講資金の貸付
都道府県の社会福祉協議会などが、実務者研修の受講費用を貸し付ける制度を設けている場合があります。たとえば静岡県では、貸付上限額は20万円で、修了後1年以内に国家試験に合格して介護福祉士の登録をし、2年間続けて県内で介護業務に従事すると、返還が免除される仕組みです。[10] 内容は都道府県によって異なるため、住んでいる地域の制度を確認しましょう。
勤務先の資格取得支援
事業所や派遣会社によっては、資格取得の費用補助や、研修日に合わせたシフト調整を行っている場合があります。働きながら資格を取りたい人は、求人を比べるときの確認項目に入れておきましょう。
自分に合うルートの選び方
状況別のおすすめの進め方
- すぐに介護の仕事を始めたい:無資格OKの求人で働き始め、働きながら初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士を目指す
- 仕事を辞めていて、学んでから始めたい:ハロートレーニングなどで初任者研修を取ってから応募する
- 訪問介護で働きたい:初任者研修などの指定研修を修了してから応募する
- 時間をかけて専門的に学びたい・若い世代:介護福祉士養成施設に進学する
介護士として働きながら介護福祉士を目指すときの注意点
実務経験ルートで受験する場合は、従業期間と従事日数の両方が必要です。転職や勤務日数の変更を考えているときは、実務経験の日数が足りるかを事前に確認しましょう。実務経験証明書は勤務先が作成するものなので、勤務先に作成を依頼することになります。[5]
介護士として働く求人を探すときの確認ポイント
比べておきたい項目
- 無資格・未経験から応募できるか
- 入職後の研修と、資格取得の支援
- 勤務形態(日勤のみ、夜勤あり、シフトの組み方)
- 資格を取った後の時給・手当
- 実務経験証明書の作成に対応してもらえるか
条件が整理できたら、求人詳細検索で勤務地や勤務条件から介護求人を比較できます。
ブレイブでは、資格の有無や希望する働き方、これから取りたい資格を伝えて、介護の仕事を相談できます。資格取得支援の内容や資格手当は求人ごとに異なるため、応募前に確認してください。
よくある質問
資格がなくても介護士として働けますか?
働けます。介護施設などには、資格がなくても応募できる求人があります。ただし、無資格で介護サービスの事業所に勤める人は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受ける必要があります。訪問介護で働くには、初任者研修などの指定研修の修了か介護福祉士の資格が必要です。
介護士になるのに、最初に取るべき資格は何ですか?
介護職員初任者研修が基本です。130時間の研修で、介護の基本的な知識・技術を学びます。修了すると訪問介護の仕事にも就けるようになり、その後の実務者研修や介護福祉士へのステップにもつながります。
働きながら介護福祉士になれますか?
なれます。介護の現場で従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上の実務経験を積み、実務者研修を修了すれば、国家試験を受験できます。収入を得ながら目指せるため、多くの人が選ぶルートです。
養成施設を卒業すれば、国家試験なしで介護福祉士になれますか?
令和8年度末(2027年3月)までに養成施設を卒業した人は、経過措置として、卒業後5年間は国家試験に合格しなくても介護福祉士になることができます。その間に国家試験に合格するか、5年間続けて介護業務に従事すれば、その後も登録を続けられます。卒業年度による扱いは、学校に確認しましょう。
資格の費用を抑える方法はありますか?
受講料が無料のハロートレーニング(公的職業訓練)、受講費用の一部が支給される教育訓練給付制度、都道府県の実務者研修受講資金の貸付(一定期間介護業務に従事すると返還免除)などがあります。勤務先の資格取得支援が使える場合もあります。条件は制度や地域ごとに異なるため、ハローワークや社会福祉協議会で確認してください。
関連リンク
- 介護資格の種類一覧|取る順番・違い・給与への影響を目的別に解説
- ヘルパーとは?介護士・介護福祉士との違いと仕事内容・資格をわかりやすく解説
- 勉強時間はどれくらい? 介護福祉士に合格するための効率的な勉強方法
- 実務者研修を活かせる介護派遣の働き方|次の資格取得やキャリアアップも見据えて
- マイナビグループの医療福祉派遣について詳しくはこちら
- ブレイブの求人検索:勤務条件を確認する
- [1]神奈川県:訪問介護員(ホームヘルパー)のページ
- [2]広島市:認知症介護基礎研修の実施
- [3]長野県:介護員養成研修について
- [4]社会福祉振興・試験センター:令和8年度 第39回介護福祉士国家試験
- [5]社会福祉振興・試験センター:介護福祉士国家試験 よくあるご質問
- [6]宮城県:介護福祉士とは
- [7]厚生労働省:第38回介護福祉士国家試験の合格発表について
- [8]滋賀労働局:ハロートレーニング(職業訓練)のご案内
- [9]厚生労働省:教育訓練給付制度のご案内
- [10]静岡県:介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度
まとめ|まずは働き始めるか、資格を取ってから始めるかを決めよう
介護士には、資格がなくても応募できる求人があり、無資格・未経験から働き始めることができます。無資格の人は採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受け、訪問介護で働くには初任者研修などの修了が必要です。
国家資格の介護福祉士へは、実務経験+実務者研修、養成施設、福祉系高校の3つのルートがあります。ハロートレーニングや教育訓練給付、受講資金の貸付なども活用しながら、自分の状況に合うルートで一歩を踏み出しましょう。
執筆・監修
ブレイブ コラム編集室
本記事は、医療・福祉業界に特化した人材派遣・紹介サービスを提供する「株式会社ブレイブ」のコラム編集室が執筆・監修しています。現場のリアルな声と最新の業界動向に基づき、介護士・看護師・保育士の皆様のキャリアアップに役立つ情報をお届けします。
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