「今の給料では生活が不安…」「仕事のやりがいを感じたい…」「でも、転職以外に道はないのかな?」保育士として働く多くの方が、こうした悩みを抱えています。
実は、転職だけがキャリアアップの方法ではありません。現在の職場で昇進を目指すことで、給与を上げ、やりがいを感じることは十分に可能です。
この記事では、保育士のキャリアアップの具体的な道筋、必要な研修、そして国の補助金制度の活用方法まで、専門的な視点から丁寧に解説します。
保育士のキャリアアップとは:昇進・昇格・給与UPの全体像
保育士のキャリアアップとは、単に「給料が上がること」だけを意味しません。より高い職務を担当し、より大きな責任を果たし、より深い専門知識を活かすことで、自分自身の成長を実感することが、真のキャリアアップです。
保育士のキャリアパスの全体像
保育園における保育士のキャリアパスは、一般的に以下のような流れをたどります。
- 保育士(一般職):入職から3~5年程度。子どもの保育業務に専念
- 副主任保育士:経験5~8年程度。主任のサポート、新人育成、園の運営補助
- 専門リーダー:特定の専門分野(乳児保育、障害児保育、食育など)を深掘りする職務
- 主任保育士:経験8年以上。園全体の保育計画立案、職員管理、保護者対応
- 園長:園全体の経営・管理責任
ただし、このパスは園によって異なります。公立保育園と私立保育園では昇進制度が異なり、また、園の規模や理念によっても、キャリアパスは大きく変わります。
キャリアアップと給与の関係性
保育士の給与は、基本的に「経験年数」「職務経歴」「役職」によって決定されます。昇進することで、これらの要素が変わり、給与が上がります。また、国の処遇改善加算制度により、キャリアアップ研修を受講した保育士に対して、給与上乗せが行われる仕組みもあります。
副主任保育士への道:条件、研修、給与
副主任保育士は、主任のサポート役として、園の運営を支える重要な職務です。ここでは、副主任になるための条件、必要な研修、そして給与について解説します。
副主任保育士になるための条件
副主任保育士になるための条件は、園によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
- 経験年数:5年以上(公立保育園の場合、より長い経験年数が求められることもあります)
- 保育士資格:保有していることが前提
- キャリアアップ研修の受講:副主任研修の修了
- 園長の推薦:園長が適性を判断し、昇進を推薦する
副主任研修の内容と期間
副主任研修は、国が定めた標準的なカリキュラムに基づいており、以下のような内容で構成されています。
- 保育の質の向上:保育内容の改善、評価方法
- 職員管理:新人育成、職員間の調整
- 園の運営:予算管理、保護者対応、地域連携
- 自己啓発:リーダーシップ、コミュニケーションスキル
研修期間は、一般的に「6ヶ月~1年程度」で、オンライン講座と集合研修の組み合わせで実施されることが多いです。
副主任昇進による給与UP
副主任に昇進した場合、給与はどの程度上がるのでしょうか。厚生労働省の調査によると、副主任昇進による平均的な年収UPは、以下の通りです。
- 公立保育園:年収で約30~50万円のアップ
- 私立保育園:年収で約20~40万円のアップ(園による差が大きい)
副主任に昇進した保育士からは、「昇進前は不安でしたが、研修を受けることで自信が持てました。給与も上がり、やりがいも感じています」という声が聞かれます。
専門リーダーへの道:新しいキャリアパスの可能性
近年、保育の現場では「専門リーダー」という新しい職務が注目されています。これは、昇進という形ではなく、特定の専門分野を深掘りすることで、給与を上げるキャリアパスです。
専門リーダーとは
専門リーダーは、以下のような特定の分野で、高い専門知識を持つ保育士です。
- 乳児保育専門リーダー:0~2歳の乳児保育に特化
- 障害児保育専門リーダー:障害を持つ子どもの保育に特化
- 食育専門リーダー:栄養・食育に特化
- 幼児教育専門リーダー:3~5歳の幼児教育に特化
専門リーダー研修の内容
専門リーダーになるには、選択した専門分野に関する研修を受講する必要があります。研修内容は、以下のような構成になっています。
- 専門知識の習得:該当分野の最新知見、理論
- 実践スキルの向上:現場での対応方法、事例研究
- 後進育成:他の保育士への指導方法
- 園への提言:保育内容の改善提案
研修期間は「3ヶ月~6ヶ月程度」で、オンライン講座が中心となることが多いです。
専門リーダーの給与
専門リーダーの給与は、園によって大きく異なります。一般的には、以下のような水準です。
- 公立保育園:年収で約20~30万円のアップ
- 私立保育園:年収で約15~35万円のアップ(園による差が大きい)
専門リーダーとして活躍する保育士は、「より深い専門知識を活かせるようになり、後進の育成にも携わることができるようになった」と語っています。

主任保育士への道:管理職としてのキャリア
主任保育士は、園全体の保育計画立案、職員管理、保護者対応など、園の運営に関わる重要な職務です。ここでは、主任になるための条件、必要な研修、そして給与について解説します。
主任保育士になるための条件
主任保育士になるための条件は、以下の通りです。
- 経験年数:8年以上(公立保育園の場合、より長い経験年数が求められることもあります)
- 保育士資格:保有していることが前提
- キャリアアップ研修の受講:主任研修の修了
- 園長の推薦:園長が適性を判断し、昇進を推薦する
主任研修の内容と期間
主任研修は、副主任研修よりも高度な内容で構成されており、以下のようなテーマを扱います。
- 園全体の保育計画立案:年間計画、月間計画の作成
- 職員管理・育成:人材育成、評価制度の構築
- 保護者対応:クレーム対応、面談技法
- 地域連携:地域との関係構築、情報発信
- 経営管理:予算管理、施設管理
- リーダーシップ:組織文化の構築、変革リーダーシップ
研修期間は「6ヶ月~1年程度」で、オンライン講座と集合研修の組み合わせで実施されることが多いです。
主任昇進による給与UP
主任に昇進した場合、給与はどの程度上がるのでしょうか。厚生労働省の調査によると、主任昇進による平均的な年収UPは、以下の通りです。
- 公立保育園:年収で約50~80万円のアップ
- 私立保育園:年収で約40~70万円のアップ(園による差がある)
主任昇進を実現した保育士からは、「園全体のビジョンに携わることで、仕事のやりがいが大きく変わった」という声が聞かれます。
キャリアアップ研修の詳細:種類、期間、内容、費用
キャリアアップ研修は、保育士の昇進を支援するために、国が定めた標準的な研修です。ここでは、その詳細について解説します。
キャリアアップ研修の種類
キャリアアップ研修は、以下の種類に分かれています。
- 副主任保育士研修:副主任昇進を目指す保育士向け
- 専門リーダー研修:特定の専門分野を深掘りしたい保育士向け
- 主任保育士研修:主任昇進を目指す保育士向け
研修の実施形式
キャリアアップ研修は、以下のような形式で実施されています。
- オンライン講座:自分のペースで学習できる。動画視聴、テスト、レポート提出
- 集合研修:講師による対面講義。グループワーク、ディスカッション
- ハイブリッド型:オンライン講座と集合研修の組み合わせ
研修受講の費用
キャリアアップ研修の受講費用は、国の補助金制度により、ほぼ無料で受講することができます。詳細については、次のセクション「国の補助金制度を活用する」で解説します。
国の補助金制度を活用する:処遇改善加算とキャリアアップ研修無料化
保育士のキャリアアップを支援するために、国は複数の補助金制度を用意しています。これらの制度を理解し、活用することで、研修費用の負担を大幅に軽減することができます。
処遇改善加算とは
処遇改善加算は、保育士の給与を改善するために、国が保育園に対して支給する補助金です。この補助金を受け取るためには、園が一定の条件を満たす必要があります。
- キャリアアップ研修の受講:副主任、専門リーダー、主任の研修を受講した保育士を配置
- 給与の改善:研修受講者の給与を、一定額以上改善する
- 職場環境の改善:残業削減、有給休暇の取得促進など
処遇改善加算により、キャリアアップ研修を受講した保育士には、月額で約4,000~8,000円の給与上乗せが行われます。
キャリアアップ研修無料化制度
国は、キャリアアップ研修の受講費用を、ほぼ全額負担する制度を用意しています。この制度により、保育士は無料で研修を受講することができます。
- 対象者:保育園で働く保育士(正社員、派遣、パートを問わず)
- 対象研修:副主任研修、専門リーダー研修、主任研修
- 費用負担:国が全額負担(受講料、教材費、交通費など)
補助金の申請方法
補助金の申請は、以下のような流れで行われます。
- ステップ1:園が補助金申請 – 園長が、都道府県の担当部署に補助金申請を行う
- ステップ2:保育士が研修申込 – 園の推薦を受けた保育士が、研修機関に申し込む
- ステップ3:研修受講 – 保育士が研修を受講する(費用は国が負担)
- ステップ4:給与改善 – 園が、研修受講者の給与を改善する
詳細な申請方法については、お住まいの都道府県の保育担当部署にお問い合わせください。
昇進のメリット・デメリット:給与UPだけじゃない、責任と負担
キャリアアップ、昇進には、メリットばかりではなく、デメリットもあります。ここでは、昇進を検討する際に、押さえておくべきポイントを解説します。
昇進のメリット
- 給与の増加:昇進に伴い、月給が上がり、ボーナスも増える
- やりがいの向上:より大きな責任を担い、園全体に貢献できる
- キャリアの安定性:昇進により、職場での地位が安定する
- スキルの向上:研修を通じて、新しい知識や技能を習得できる
- 後進育成の機会:新人保育士の指導を通じて、自分の経験を活かせる
昇進のデメリット・課題
- 責任の増加:昇進に伴い、園の運営に関わる責任が増える
- ストレスの増加:職員管理、保護者対応など、ストレスが増える可能性がある
- 労働時間の増加:管理業務により、残業が増える可能性がある
- 人間関係の複雑化:昇進により、同僚との関係が変わる可能性がある
- 研修の負担:昇進前の研修受講に、時間と労力が必要
ワークライフバランスとの両立
昇進を検討する際には、ワークライフバランスとの両立が重要です。以下のポイントを確認してから、昇進を決断することをお勧めします。
- 現在の職場の労働環境:残業時間、有給休暇の取得状況
- 昇進後の労働環境:昇進後の予想される労働時間、責任
- 自分のライフプラン:結婚、出産、育児など、今後のライフイベント
- 園のサポート体制:園が、昇進者のワークライフバランスをサポートしているか

転職 vs 昇進:どちらがあなたに合っている?
給与を上げたい、やりがいを感じたいという思いから、「転職」と「昇進」のどちらを選ぶべきか、悩む保育士も多いのではないでしょうか。ここでは、転職と昇進のメリット・デメリットを比較し、判断基準を提示します。
転職のメリット・デメリット
転職のメリット:
- 給与が大幅に上がる可能性がある(特に、給与水準の高い園への転職)
- 新しい環境で、一から出発できる
- 現在の職場の人間関係の悩みから解放される
- 自分に合った職場を選べる
転職のデメリット:
- 新しい職場での人間関係構築に時間がかかる
- 転職先の園の文化や方針に適応するまでの期間が必要
- 転職に伴う手続き、引越しなどの負担がある
- 転職後、給与が期待より低い場合もある
昇進のメリット・デメリット
昇進のメリット:
- 現在の職場で、人間関係が既に構築されている
- 園の文化や方針を理解している
- 転職に伴う手続きや引越しの負担がない
- 研修を通じて、スキルを磨ける
昇進のデメリット:
- 給与の上がり幅が、転職より小さい可能性がある
- 昇進の可能性が不確実(園の人事方針による)
- 昇進に伴う責任の増加により、ストレスが増える
- 同僚との関係が変わる可能性がある
転職 vs 昇進の判断基準
転職と昇進のどちらを選ぶべきか、以下の判断基準を参考にしてください。
- 「昇進」を選ぶべき場合 – 現在の職場に満足している、人間関係が良好、園の昇進制度が明確である、ワークライフバランスを重視したい
- 「転職」を選ぶべき場合 – 現在の職場に不満がある、昇進の可能性が低い、給与を大幅に上げたい、新しい環境で挑戦したい
- 「両方」を検討すべき場合 – 現在の職場での昇進と、転職先での昇進の両方を検討し、より良い条件を選ぶ
ブレイブで実現するキャリアアップ:転職・派遣でのキャリアパス
ブレイブは、保育士のキャリアアップを支援するために、複数のサービスを提供しています。ここでは、ブレイブを活用したキャリアアップの方法を解説します。
ブレイブの転職支援でのキャリアアップ
ブレイブは、保育士の転職を支援する際に、以下のようなサポートを提供しています。
- キャリアカウンセリング:あなたのキャリアの目標を明確にし、それに合った職場を提案
- 給与交渉:転職先との給与交渉をサポート
- 研修情報の提供:キャリアアップ研修の情報提供、受講支援
- 入職後のサポート:新しい職場での適応を支援
ブレイブ経由で転職した保育士からは、「キャリアアップの相談に乗ってもらえたことで、自分に合った職場を見つけることができた」という声が聞かれます。
ブレイブの派遣でのキャリアアップ
ブレイブの派遣サービスは、単なる「働き方」の選択肢ではなく、「キャリアアップの手段」として活用することができます。
- 複数の職場経験:派遣を通じて、複数の保育園で経験を積むことで、スキルを磨ける
- 研修機会の提供:ブレイブが提供する研修を受講し、スキルアップできる
- 紹介予定派遣:派遣期間後、気に入った職場に正社員として転職できる可能性
- 給与の安定性:派遣でも、時給が高く、給与が安定している
保育士のキャリアアップに関するよくある質問(FAQ)
最後に、保育士のキャリアアップについて多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1. 副主任研修は、現在の職場に勤務しながら受講できますか?
A1. はい、可能です。研修はオンライン講座と集合研修の組み合わせで実施されており、オンライン講座は自分のペースで受講できます。ただし、集合研修は指定された日時に参加する必要があります。園と相談し、勤務シフトを調整することで、研修受講と仕事の両立は十分に可能です。
Q2. 派遣保育士でも、キャリアアップ研修を受講できますか?
A2. はい、可能です。国のキャリアアップ研修無料化制度は、派遣保育士も対象としています。ブレイブの派遣保育士であれば、ブレイブのサポートを受けながら、研修を受講することができます。
Q3. 昇進試験はありますか?
A3. 昇進試験の有無は、園によって異なります。公立保育園では、昇進試験を実施する園が多いです。一方、私立保育園では、園長の推薦のみで昇進が決まる場合もあります。事前に、園の昇進制度を確認することが重要です。
Q4. 昇進を断ることはできますか?
A4. はい、昇進を断ることは可能です。ただし、園長から昇進を打診された場合、慎重に検討し、園長と相談することが大切です。昇進を断った場合、その後の職場での立場に影響が出る可能性もあるため、慎重に判断してください。
Q5. 昇進後、給与が約束通り上がらなかった場合、どうすればいいですか?
A5. 昇進後、給与が約束通り上がらない場合は、園長に相談することが重要です。処遇改善加算の対象者であれば、国の補助金により、給与上乗せが行われるはずです。ブレイブのキャリアアドバイザーに相談することで、給与交渉のサポートを受けることもできます。
まとめ:あなたのキャリアアップの第一歩を踏み出そう
保育士のキャリアアップは、給与を上げるだけではなく、自分の専門性を高め、やりがいを感じることができる重要な選択肢です。副主任、専門リーダー、主任といった複数のキャリアパスがあり、それぞれに異なる魅力があります。
また、国の補助金制度により、キャリアアップ研修をほぼ無料で受講することができます。この制度を活用することで、経済的な負担を最小限に抑えながら、スキルアップを実現することができます。
転職と昇進のどちらを選ぶべきか、迷っている方も多いでしょう。その場合は、自分のキャリアの目標、現在の職場への満足度、ワークライフバランスの希望などを総合的に考慮し、判断することが大切です。
関連リンク
- 一般社団法人全国保育士養成協議会
- 公益財団法人 児童育成協会-保育士等キャリアアップ研修のご案内
- 厚生労働省-保育士のキャリアアップ・処遇改善の仕組み
- こども家庭庁-施設型給付費等に係る処遇改善等加算(制度説明資料)
- 日本ウェルフェアサービス協会
- マイナビグループのブレイブ保育士専門サイト
執筆・監修
ブレイブ コラム編集室
介護・保育を中心に、「はたらく人」と「支える現場」に役立つ情報をわかりやすく発信しています。派遣・転職を検討する方が安心して一歩を踏み出せるよう、現場の声や最新動向をもとに実務的なコラムをお届けしています。
ブレイブとは?
株式会社ブレイブは、マイナビグループの一員として、医療・介護・保育などの福祉分野に特化した人材サービスを展開しています。2005年の創業以来、全国の拠点ネットワークと地域密着の支援体制を強みに、派遣・紹介・業務委託など多様なサービスを提供。人と職場をつなぐ「架け橋」として、求職者と施設・園の双方に寄り添い、安心して働ける環境づくりをサポートしています。