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2020年から施行開始! 「同一労働同一賃金」とはどんな制度?

2020年から施行開始! 「同一労働同一賃金」とはどんな制度?

2020年に「同一労働同一賃金」という制度が導入されました。これは、働き方改革の目玉ともいえる「働き方改革関連法」に基づいた制度ですが、これにより、何がどのように変わるのでしょうか。パートタイムや派遣など非正規雇用で働いている人だけでなく、正規雇用で働いている人にとっても関係のある制度です。同一労働同一賃金制度についてしっかり理解し、より自分に合った働き方を目指しましょう。

「同一労働同一賃金」とはどんな制度?

「同一労働同一賃金」とはどのような制度なのか、この制度が導入されるに至った背景もまじえて説明します。

「同一労働同一賃金」の概要

同一労働同一賃金は、それまで大きかった正規労働者と非正規労働者の待遇格差をなくすための制度です。特に賃金には大きな差がありましたが、そのような差をなくし、最終的には、人々が多様な働き方を自分で選択できるようにするというところまでを目指しています。待遇とは、給与はもちろん、賞与や福利厚生、交通費、諸手当などすべてを含みます。

施行は、2020年の4月1日からで、中小企業の場合は、1年遅れの2021年4月からで、2023年現在はすでに施行されています。

「同一労働同一賃金」導入の背景

同一労働同一賃金導入の背景にあるのは、労働の多様化が進んだことです。
昭和の時代は、働くのであれば正規雇用・終身雇用が当たり前でしたが、時代とともにパートタイムや契約社員、派遣社員という労働形態が生まれ、仕事に対する人々のあり方や意識が少しずつ変わってきました。2019年の統計調査では、労働者全体の38.3%が非正規雇用という数値も出ています。
そういった状況の中、正規雇用と非正規雇用の間にある賃金格差がクローズアップされてきました。

海外でも雇用形態の違いによる格差は問題視されていましたが、日本に先立って同一労働同一賃金の政策を実施したヨーロッパ諸国では、労働者間の経済格差が解消されつつあるといいます。
これから先、AIの導入などにより、さらに雇用形態が変化することも考えられますし、非正規雇用もいまだに増加傾向にあります。このような状況をふまえ、日本でも同一労働同一賃金の必要性が高まり、実施に至ったのです。

同一労働同一賃金の対象者は?

同一労働同一賃金の対象となるのは、有期雇用、派遣社員やパート社員など、非正規雇用で働く人々です。正規雇用の労働者と同じ職務と責任を負わせるのであれば、企業側は同じ待遇・賃金で対処する義務を負います。

非正規雇用で働く人数が増えている今の日本、派遣社員やパート社員を多く採用している企業にとっては大変な制度かもしれませんが、非正規雇用で働く人にとってはメリットのある制度ではないでしょうか。

なお、同一労働同一賃金の基本的な考え方、具体例などは、厚生労働省の『同一労働同一賃金ガイドライン』に記載されていますが、実はガイドラインはあくまでもガイドラインで、法的な拘束力を持つものではありません。企業側の対応に委ねられている側面もあるので、できれば一度、ガイドラインに目を通しておくことをおすすめします。Q&Aや問い合わせ先も明記されているので、疑問点などは問い合わせて解消しておきましょう。

同一労働同一賃金のガイドラインはこちら

同一労働同一賃金のメリット

同一労働同一賃金になることで、労働者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

大きなメリットとしては、待遇改善による収入のアップが見込めることです。「仕事内容は同じなのに、給料は正社員より低いし、ボーナスもない」というこれまでの不満は間違いなく解消されます。不満が解消されればモチベーションが上がり、仕事に対する意欲もわいてくるでしょう。

また、福利厚生なども同じにすると提示されていますから、費用のかかる研修やセミナーなどへの参加も認められるようになります。そうなれば、さまざまなスキルを身につけ、磨くことが可能に。スキルアップして仕事の幅を広げていければキャリアアップにもつながります。これも、同一労働同一賃金のメリットといえるでしょう。

同一労働同一賃金のデメリット

では、デメリットとしてはどのようなことが考えられるのでしょうか。
ひとつは、これまでよりも責任や仕事の成果が求められるようになることです。それまでは「待遇が違うから」で逃れられていたことも、逃れられなくなります。正規雇用の労働者と同じなのだという意識を持つことが必要です。

また、同一労働同一賃金が導入されると、企業側の人件費はかなり上がるはずです。非正規労働者にプラスする分、正規労働者にかける費用を抑えて対応する企業も出てくるでしょう。正規労働者側のモチベーションが下がり、仕事に影響が出ることがあるとしたら、デメリットといえるかもしれません。

派遣の同一労働同一賃金は2パターン存在する

同一労働同一賃金では、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」、2つの方式があり、自分の雇用主である派遣会社が選択・決定することになっています。そのため、派遣会社がどちらの方式を選択しているかによって、賃金や待遇が異なります。

派遣先均等・均衡方式とは

派遣先均等・均衡方式とは、派遣先の職場で正社員と同等の仕事をしている派遣労働者の待遇を、正社員と同等のものにすることを指します。そのため、派遣会社は派遣社員の待遇を同等のものにするために、派遣先で同じ仕事をする正社員の待遇情報を、派遣先企業から提供してもらう必要があります。該当する待遇は基本給だけではありません。もし、正社員に通勤手当や役職手当などを支給している場合は、同じ条件になります。

また、派遣先企業が変わるたびに、派遣先の正社員の給料待遇が変わります。

労使協定方式とは

労使協定方式とは、働くエリア・職種ごとに厚生労働省が定めている、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」以上の待遇を支給することを定める労使協定を締結し、対応する方式です。

そのため、派遣先の正社員の給料待遇と合わせる必要がないことから、派遣先が変わる度に給料に変動が起こる「派遣先均等・均衡方式」よりは給料が安定するというメリットがあります。

この制度で労働者が確認すべきこと

同一労働同一賃金は、企業側が対応すべき制度です。賃金の改善、福利厚生の対応など、しっかり取り組んでいる企業がある一方で、実情は変わらないというケースもなきにしもあらず。その場合は、労働者側から働きかけることが大切です。

例えば、パート社員として採用され、正社員と同じ仕事をしているのに「待遇が違うのでは?」と感じたときは、雇用主に具体的な待遇の違い、理由を確認しましょう。その権利が、非正規雇用の社員には認められているからです。

とは言え、直接説明を求めることも心情的にはなかなか難しい面もあるかもしれません。
そういった場合は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(均等室)が、不合理な待遇格差についての相談を受け付けています。パートタイム・有期雇用労働法に関して職場でトラブルが起きたときも、解決に向けた支援をしてくれる部署で、料金はかかりませんし、相談は非公開なので安心です。

制度の運用について、非正規雇用の立場からは、なかなか声を上げにくい面もあるもの。仕事内容や待遇について疑問や困ったことが出たときのために、都道府県労働局の雇用環境・均等部(均等室)という部署があることを覚えておき、いざというときに役立てましょう。
厚生労働省のWebサイト「同一労働同一賃金特集ページ」からリーフレットがダウンロードできるほか、連絡先の一覧も入手できます。

同一労働同一賃金は、派遣社員やパート社員など、非正規雇用で働いてきた人にとってはありがたい制度です。しかし、当然ながら責任や成果も求められるようになります。自分の生活をどう考えるか、労働内容と賃金をどう結びつけるか、制度の内容をチェックして自分なりに考え、悔いのないように働いていきましょう。

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