結構大変? 介護職として夜勤に働くときの仕事内容
利用者が入居しているタイプの老人ホームには24時間体制で介護士が勤務しています。介護職の夜勤とはどのような仕事をするものなのか、どのような点が大変なのかなど、夜勤について知っておきたいことをまとめて解説します。
介護士の夜勤の勤務時間
入居型の介護施設では24時間体制で介護を行うため、夜勤を含むシフト勤務制が採用されているのが一般的です。
シフト勤務制には2交代制と3交代制がありますが、日本ではほとんどの介護施設が2交代制を組んでいます。その場合の夜勤の勤務時間は、16:00~9:00または17:00~10:00といったパターンが多くなります。1回のシフトで、休憩を1~2時間挟んで16時間以上拘束されるというのが2交代制の夜勤の典型的な勤務時間です。
夜勤で16時間以上働くとなると、かなりハードな印象を持たれるかもしれませんが、実際は1回の夜勤で2日分働くという計算になるので夜勤明けの日は勤務日の扱いになり、翌日が公休扱いとなります。また2交代制の夜勤出勤回数は、1ヶ月に4~5回というのが平均的になります。
夜勤手当や待遇の違い
多くの施設では、介護士の夜勤に対して夜勤手当を支給しています。しかし、夜勤手当は労働基準法で定められている手当ではありません。本来、夜勤は労働基準法では時間外労働という扱いにしかならず、基本給の25%増しという割増賃金の支払い義務のみが発生します。
ただ、実際のところ割増賃金以上の夜勤手当を支給している施設が多いのは、待遇を良くして雇用の安定を図りたいという意図があるためです。夜勤をやりたがる人の数は決して多いわけではないので、施設としてはそのぶん待遇を厚くして夜勤をしてくれる人を雇いたいと考えているわけです。このことから、お金をたくさん稼ぎたい人にはおすすめかつ、人気の勤務形態でもあり、実際に夜勤専門の介護士を選択する方もいます。
夜勤業務の2交代と3交代の違い
上でシフト勤務制には2交代制と3交代制があると述べました。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
2交代制は1日を昼と夜の2つに分けます。昼の勤務は通常の仕事と同じく9:00~17:00などの朝から夕方までです。夜勤のみ、その後の夕方から朝までと勤務時間が長くなります。
一方、3交代制の場合は1日を昼、夕方、夜の3つに分けます。夜勤はこのうち、夜を担当することになり、勤務時間は22:00~7:00までの9時間拘束8時間勤務というのが典型的です。
2交代制の夜勤は3交代制の夜勤よりも夜勤手当が高い傾向があります。片や、3交代制の夜勤は勤務時間が2交代制より短いので働きやすいといえます。ただし、3交代制を採用している施設はそれほど多くはありません。
夜勤の仕事内容
夜勤の介護士の仕事内容を見てみましょう。以下は、2交代制の夜勤を想定した場合の主な仕事内容です。
就寝時間までの業務
夕方に出勤すると、まず日勤の介護士から業務引継ぎの打ち合わせをします。次に夕食の準備をし、続いて食事介助、服薬介助をし、食器類の片付けなどを行います。その後、就寝時間に間に合うよう、歯磨き、洗顔、トイレへの誘導、着替えなどのサポートをします。その後、ベッドへの移動・移乗を行って消灯という流れになります。
安否確認
利用者が就寝すると、その後は一定時間ごとに居室を巡回して安否確認を行います。利用者からのコールがあれば即座に対応します。また、自分で寝返りを打てない利用者に対しては適宜、体位変換の手伝いをします。この時間帯は比較的手が空くことが多いので、介護記録の作成などの事務作業に携わります。途中、休憩時間も設けられています。
排泄介助
排泄介助は就寝前か、利用者ごとに決まった時間に行うことが多いでしょう。中には不定期で排泄介助が必要な人も、当然います。トイレへの誘導のみ行う場合や、おむつの交換をする場合など、介助の度合いも異なります。
起床介助
起床時になると、今度は利用者によって起き上がり介助が必要になります。ベッドからの移動、着替え、トイレの介助なども行います。その後、朝食の準備、配膳、食事介助へと進みます。また、歯磨き、洗顔などのサポートをし、髭剃りなどの整容を行うこともあります。
朝食後
朝食後はシーツの取り替え、ゴミ捨て、検温などをします。ただ、どこまでを夜勤の介護士が担当するかは施設により異なります。その後は日勤の担当者に申し送りをし、業務引継ぎをして勤務が終わります。
夜勤で大変なこと
夜勤で大変なのは、少ない人数で大勢の利用者を見なければならないことです。ほとんどの場合、夜勤は日勤よりも介護士の数が少ない傾向にあるので、1人で多くの業務を担当することになります。
また、利用者の状態が急変した場合は少人数で対応しなければなりません。そうでなくても昼間と夜間では様子が変化する利用者もいます。昼間は穏やかな雰囲気で過ごしていても、夜になると不安などで落ち着かなくなるといった場合もあるので、利用者によって異なる特徴を把握した上で対応する必要があります。
加えて、夜勤と日勤を繰り返すワークスタイルは体調管理が難しいという問題もあります。これまでずっと規則正しい生活を送ってきたという人にとっては、夕方から朝まで働くこと自体をかなり負担に感じるかもしれません。逆に、もともと夜型で夜勤をさほど苦としない人もいるなど、人によって向き不向きがあります。
夜勤で介護士をする場合大変なこともありますが、たくさんお金を稼ぎたい人には人気の勤務体系です。自分に合う働き方についてよく考えて、勤務先の選択をしましょう。