介護職を目指している人必見! 介護職の現状と将来性
少子高齢化社会の到来によって、介護業界では慢性的な人材不足が課題となっています。ここでは現在の介護職の現状と将来性を踏まえて、今後の需要や処遇改善、いまから介護職を目指す方法について詳しく紹介します。
現在の介護職の現状
介護職の現状は、依然として少子高齢化による人手不足に陥っています。介護用ロボットの投入や在宅介護など、介護職員だけに負担をかけないためにさまざまな手段がとられていますが、介護職員の数には地域差があり、介護施設の設備・資金力によって介護そのものの質が左右されている現状もあります。
介護の仕事は肉体労働のイメージが定着しており、ネガティブな印象を抱く人も少なくないため、介護士のなり手が少ないことが課題の一つとなっています。そのため、民間企業が介護サービスに参入し、介護用ロボットが第一線で活躍するなど、現代的かつ利便性の高いサービスも次々と打ち出されています。介護に適した施設や設備を整えることは、介護士や介護スタッフの働きやすさに繋がり、介護士の増員に役立つと期待されています。
今後の介護職に将来性はあるの?
人材不足は続いているものの、介護業界には継続的な需要があり、人手不足を解消するためにさまざまな施策がとられていることから将来性が期待されています。
今後さらに需要が伸びていく
厚生労働省が発表した「介護保険事業状況報告の概要(平成31年1月分)」では、日本における要介護(要支援)者数は2019年時点で656万人となっており、今後もさらに増えていくと予想されています。国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」では、75歳以上の人口は2055年の時点で3,677万人に達するとされ、日本人の人口の3割に迫る内容となっています。在宅・介護施設問わず介護を必要とする人の数が物理的に増えるため、介護士のニーズもこれまで以上に高まると考えられています。
介護業界の課題は、需要が高いままにも関わらず定着率が高くはないことです。入職しても数年で離職をし、他の介護現場に移ってしまう、介護士自身が出産・育児・自身の両親の介護などに追われ介護職から離れなければならない、などといった問題もあり、人手不足の解消が急がれています。
処遇改善が期待できる
上記のような問題に対応するため、国と民間のそれぞれが介護士への処遇改善をはたらきかけています。介護士が気持ちよく働けるよう、介護施設を病院やコンビニエンスストアを併設するなどの複合的な施設に整えたり、介護士が休みを取りやすくしたりなどの制度改革も行われています。
近年では育児・介護休業法の改正によって、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革)」が施行されました。業務内容の見直しや時短勤務の促進といった、第一線での負担を軽減する内容に変化しつつあります。さらなる高齢化社会の到来を踏まえると、今後さらに待遇や環境は改善されていくと考えられます。
時短勤務でも対応できるので子育て中の方も活躍できる
時短勤務とは育児・介護休業法によって定められた内容で、子育てや介護を行う人が仕事と両立しやすいように、1日あたりの労働時間を原則6時間以下にすることが可能となりました。正社員だけではなく派遣社員やパートタイム労働者も利用可能で、一定の条件を満たせば申請することができます。
この時短勤務によって、出産や育児をしながらでも介護士として働き続けることができます。今までは一度離職をして育児や介護に専念しなければならなかった人が、時短勤務によって空いた時間を自由に使えるようになるため、ひとつの職場で長く働きたい場合に活用できます。
いまから介護職になるには
介護職を目指す場合いくつかのルートに分けられますが、無資格・未経験からでも目指すことが可能です。介護福祉士養成施設を卒業している人は、そのまま国家資格である介護福祉士の筆記試験を受けて正規の資格を取得し、介護士として働くことができます。介護職員として採用される前に資格の取得を行う方法で、知識を身につけてから実務に入るルートです。
反対に介護助手として介護施設などに雇われ、3年の実務経験を積みながら「介護職員初任者研修」と「介護福祉士実務者研修」を2段階に分けて受講し、筆記試験を受けて介護福祉士の資格を取得してから介護士になる方法もあります。実務と研修の受講を並行するルートですが、学んだことを現場で確認しスキルアップをしながら介護福祉士を段階的に目指す方法です。
介護業界は依然として引く手あまたの状況であり、日本全国に数多くの介護サービス・介護施設が存在する一方、深刻な人手不足に陥っています。しかし、さらなる高齢化の到来を踏まえて政府と民間が一体となって処遇改善に動き出しており、今後さらに介護に取り組みやすい環境や制度が整っていくことでしょう。
政府主導で進めている「働き方改革」もまだ十分ではなく、より介護士の働きやすさに寄り添った内容となっていくことから、介護業界には将来性が期待できます。介護のお仕事に興味がある方は、ぜひ介護職を目指してみてはいかがでしょうか。