ケアマネジャーの受験資格となる実務期間の計算方法とは?
正式名称は「介護支援専門員」、通称「ケアマネジャー」は、介護現場の中核を担うスペシャリストとして人気の職種です。ケアマネジャーになるためには試験を受けなければなりませんが、受験資格として実務期間の日数に規定があります。同じ職場で働き続けている場合は日数の計算も簡単ですが、そうでない場合、どう計算すればいいのか悩むこともあるでしょう。この記事では、実務期間の計算方法について説明しますので、ぜひ参考にしてください。
ケアマネジャーとは?
ケアマネジャーとは、要介護者や要支援者の心身の状況に応じ、介護サービスを受けられるよう、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成を行い、市町村・サービス事業・施設、家族などとの連絡調整を行う、介護保険法に規定された専門職です。略して『ケアマネ』と呼ばれることや『ケアマネージャー』と呼ばれることもあります。
ケアマネジャーは、利用者が必要としている介護サービスを過不足なく利用できるよう総合的な支援をするという重要な役割を担っているため、ケアマネジャー試験に合格した人だけがなれる職業です。
ケアマネジャー試験とは?
ケアマネジャー試験は、ケアマネジャーとして仕事をするために必要な資格取得のための試験です。この試験を受けて合格しないと、ケアマネジャーとして働くことはできません。管理をしているのは各都道府県で、国家資格ではなく公的資格に属するものです。
試験は筆記形式で実施され、大きく分けると「介護支援」「保健医療サービス」「福祉サービス」の3つの分野から出題されます。
出題はマークシート形式で、5つの選択肢の中から複数の正解を選ぶというもの。ひとつの正解を選ぶだけならあてずっぽうで当たることもありますが、複数で正解しなければならないので、その点が難易度の高さにつながっているといえそうです。
ジャンルごとに詳しく見ると、「介護支援」からは25問が出題され、おもに介護保険の制度や概要、サービス内容について問われます。「保健医療サービス」の出題は、基礎と総合を合わせて20問。疾患や検査などの医学的基礎知識、高齢者の介護の方法のほか、介護保険施設に関して確認する問題が出ます。「福祉サービス」は15問で、介護老人福祉に関する制度や、施設運営の事業に関する出題がメインです。
こうして見るとわかるように、トータルで60問と大ボリュームのテストとなっており、かなり幅広い知識を問われています。合格ラインは、これらの分野で平均して7~8割以上の点数を獲得すること。たとえば「介護支援」と「保健医療サービス」が満点でも、「福祉サービス」が50点では合格できないということになります。
ケアマネジャーは、介護を必要とする方たちがよりよく生活でいるようにプランを作成し、時には自治体や介護事業者との間に立って調整を行うという職種。そのため万遍ない専門的な知識が求められています。資格を狙う際は、そのことを念頭に置いておきましょう。
ケアマネジャー試験の受験資格
ケアマネジャーの試験は、勉強すれば誰でも受けられるというわけではありません。また、介護現場で働いていれば受けられるというものでもないので、その点はご注意ください。2018年からの規定は以下のようになっています。
まず、次のような仕事に就いていることが必要です。
大きく分けると2つの分野で、ひとつは「国家資格等に基づく業務に従事する者」となっています。具体的には、社会福祉士、介護福祉士栄養士、精神保健福祉士、管理栄養士(栄養士も可)、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士などの国家資格を持つ人。国家資格ですから、医師、歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師なども該当します。
もうひとつの分野は「介護施設などで相談援助サービスに従事する者」で、具体的には、支援相談員、生活相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として仕事をしている人です。
さらに、その仕事に携わっている期間も、受験資格に含まれています。連続で勤務している必要はないのですが、トータルで実務期間が5年以上、日数にすると900日以上あることが必要です。
ここで気をつけたいのは、例えば社会福祉士の資格を持っていても、その資格に基づいた業務を担当していなければ実務経験には含まれないこと。つまり、社会福祉士の資格を持っていても、介護現場で介護職として仕事をしているだけでは、社会福祉士の実務経験としては認められないということになります。
受験資格のための実務経験の計算方法
連続して勤務していた場合は、実務経験の計算は簡単です。難しいのは、職場を変えたり、その仕事に就いていない期間があったりする場合ですが、基本的には試験の日までに規定の日数が満たされていれば問題ありません。試験日が発表になったら、そこから逆算して、自分に受験資格があるかどうかを確認し、実務経験(見込)証明書などの必要な書類は早めに準備をしましょう。
なお、職場を変わっている場合は、それぞれの職場での実務経験証明書が必要となります。ただし、介護の仕事に携わった期間が通算で5年以上になってしまう場合は、直近の職場からさかのぼって必要日数が満たされれば、その分だけで大丈夫です。たとえば、10年間で10の職場を経験した場合、その10か所の証明が必要というわけではありません。いちばん新しいところからさかのぼって必要日数が満たされる分までが必要ということです。
ここで気をつけたいのは、育児休業、病気休業、介護休業等をとった場合は、実務経験の日数には含まれないことです。連続して勤務していないので日数が足りるか不安という場合は、まずは自分の職場履歴と勤務日数を書き出し、5年以上でなおかつ900日以上という要件を満たせるかどうか、計算しておくと安心です。
ケアマネジャーの試験を受けるには、受験資格として定められている実務期間を満たすかどうかを計算しなければなりません。その計算方法は、お伝えした通りです。受験日までに日数を満たしていれば、試験を受けることができます。自分の実務時間と試験日までの日数を計算し、受験資格がある場合は、早めに勉強や準備を始めてくださいね。