介護業界唯一の国家資格! 介護福祉士の資格を取るメリットと取り方
介護福祉士は介護業界唯一の国家資格です。介護職のキャリアパスの最上位にある資格であり、取得することで多くのメリットが得られます。ここでは介護福祉士とはどのような資格で、どんなメリットが得られるのか、また取得するにはどんな方法があるのかをご紹介していきます。
介護福祉士とはどんな資格?
介護福祉士とは、高齢者や体の不自由な人を対象とした「介護」と、「介護に関する指導」を行う専門職であり、国家資格です。
介護福祉士は主に病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイケアセンター、障害福祉サービス事業所などの社会福祉施設に勤務します。仕事内容は、食事、入浴、排泄、整容(歯磨きや洗顔)、車椅子での移動補助などの「身体介助」、利用者の身の回りのお世話や家事をする「生活支援」、利用者や在宅介護を行う家族からの介護・介助に関する相談に応じる「相談・助言」という3つの領域に及びます。さらに、介護現場で働くヘルパー(介護職員、介護士)への指導や助言、介護計画(ケアプラン)の作成などを行うこともあります。
介護福祉士の資格を取るメリット
介護福祉士の資格を取得すると、次のようなメリットが得られます。
仕事の領域が広がる
例えば、訪問介護事業所においては、利用者40人に対して「サービス提供責任者」を1名配置しないと介護報酬が10%減算されることが介護保険法で定められています。介護福祉士、看護師・准看護師・保健師、ホームヘルパー1級、介護職員基礎研修、実務者研修のうち、どれか一つの要件を満たしていないと、「サービス提供責任者」になることができません。ですので、訪問介護事業において、看護福祉士の資格が重宝されるのです。
ちなみに、介護福祉施設などで働く「生活相談員」になるためには、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格の3つの資格のうち、どれかを取得していなければなりません。
さらに、グループによる介護サービスを行う場合、厚生労働省では5年程度の実務経験を積んだ介護福祉士を、チームリーダーと位置づけて介護人材の機能分化を進めるとする方針を示しています。介護福祉士が管理職に就くケースはすでに多くの事業所で見られますが、今後さらにその道が開きやすくなるでしょう。
このように、介護福祉士はあらゆる介護の現場で求められており、仕事の領域は今後ますます広がっていくでしょう。介護職に就いていて、リーダー的な役割を担っていきたいのであれば、介護福祉士は必須の資格と言えるでしょう。
給与・待遇がよくなる
介護福祉士の資格を持っていると、月収が約3~5万円アップします。職場にもよりますが、資格手当という形で給与に反映されることが多く、仮に月4万円なら年収で48万円の差がつくことになります。
また、政府は2019年10月より、勤続10年の介護福祉士の給与を月8万円アップするという提案をし、実施に向けて検討を進めています。
現時点でも、介護福祉士の資格を持つスタッフが多くいる介護事業所には、介護報酬に「サービス提供体制強化加算」が算定されます。通所介護では、全職員に対する介護福祉士の割合が40%または50%以上であるほか、勤続3年以上の職員が全体の3割を占めていることが算定要件として挙げられています。これらの理由から、介護事業所が介護福祉士の資格所有者を優遇し、通常のヘルパーなどに比べて給与・待遇がよくなる傾向があります。
就職・転職に有利になる
介護福祉士の資格を持っていれば、介護業界での就職や転職も有利になります。介護老人保健施設や特別養護老人ホームだけでなく、前出の訪問介護のサービス提供責任者や、生活相談員になる道を目指すこともできるでしょう。
介護福祉士の資格を取る3つのルート
介護福祉士の国家試験を受けるには、実務経験ルート、福祉系高校ルート、養成施設ルートの3つのルートがあります。
実務経験ルート
実務経験が3年以上ある場合は、実務者研修(最短1ヶ月半程度)を受講して、修了すると介護福祉士の受験資格が得られます。この場合、実技試験は免除されます。正社員でなくても、派遣で介護職員の職に就き、実務経験を3年経験した場合も「実務経験3年以上」の条件を満たすことができます。
養成施設ルート
介護福祉士の養成施設を卒業すると受験資格が得られます。介護福祉士養成施設とは厚生労働大臣指定の学校のことで、四年制大学、短期大学、専門学校などがあります。普通科の高校を卒業してこれらの養成施設に通う場合は最短2年、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業してこれらの養成施設に通う場合は最短1年で条件を満たすことができます。さらに「介護技術講習」を受講すると介護福祉士の実技試験が免除となります。
福祉系高校ルート
福祉系高校または福祉系特例高等学校を卒業すると受験資格が得られます。「介護技術講習」を受講すると介護福祉士の実技試験が免除となります。
介護職でキャリアアップを目指すなら、将来的に必要になるのが介護福祉士の資格です。派遣で介護士として働きながら、「実務経験ルート」をたどって介護福祉士の資格を取得することも可能です。働きながら、介護福祉士取得を目指してみてはいかがでしょうか