高卒から保育士になる方法は? 資格取得や勉強法などを解説
最終学歴が高卒の場合、保育士として働いてみたくても資格がないから無理だとあきらめている人はいないでしょうか。実は、その必要はまったくありません。高卒であっても、保育士の資格を取得することは可能だからです。では、具体的にはどうすればよいのでしょうか。資格を取得するまでのステップ、勉強方法について解説します。
高卒で保育士資格を取得するまでのステップ
はじめに、高卒で保育士資格を取得するまでのステップを確認しておきましょう。大きく分けると、2つのルートがあります。
指定保育士養成施設を卒業する
ひとつは、厚生労働大臣が「指定保育士養成施設」として指定した大学、短期大学、専門学校などの施設に入学して学び、卒業するというルートです。指定保育士養成施設で学べば、卒業と同時に保育士資格を取得することができます。
修業年限は、大学が4年、短期大学が2年、専門学校は2年もしくは3年です。中には、通信課程や夜間課程を設置している学校もあるので、働きながら勉強することもできます。
保育士試験を受験する
もうひとつのルートは、年に2回実施される保育士試験を受け、合格することです。受験資格は、「おおむね短期大学卒業程度」となっているので、指定保育士養成施設以外の大学や短期大学、専門学校を卒業した人であれば、受験できます。
最終学歴が高卒の場合は「児童福祉施設で実務経験2年以上、なおかつ総勤務時間数2880時間以上」など一定の条件を満たせば、受験資格を得ることが可能です。
資格試験の内容と対策
保育士試験について、もう少し掘り下げておきましょう。
試験は、筆記試験の後に実技試験という2段階で実施されます。
筆記試験の内容は、厚生労働省のサイトによると「保育原理」「教育原理および社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」「保育の心理学」「子どもの保健」「子どもの食と栄養」「保育実習理論」の8科目です。
実技試験は、保育に関連する実技で、「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」という3つの分野から2分野を選択して受けることとなっています。ただし、受けられるのは、筆記試験の8科目すべてに合格した後です。
保育士資格の効果的な勉強法
ここからは、保育士試験を受けて資格取得を考える人に向けて、効果的な勉強方法について解説します。
学習計画の立て方
資格試験を受けるにあたっては、自分で勉強のスケジュールを立てて取り組まなければなりません。
完全独学で保育士試験を受ける場合の勉強時間の目安は、一般的に100時間~150時間程度とされています。1日に1時間の勉強で、だいたい3か月~5か月という計算です。
まずは、この目安をもとにして、自分の学習計画を立ててみましょう。毎日コツコツと1時間ずつ勉強するという方法もあれば、仕事が休みの日に集中して取り組むという方法もあります。
そのうえで、試験前1か月は総仕上げや復習、模擬問題に取り組めるようにしましょう。試験日から逆算して、計画を立ててみてください。
なお、筆記試験の合格は、3年間有効です。令和6年に合格した場合は、令和7年、令和8年の試験が免除となります。勉強時間の確保が難しい場合は「3年で合格」を視野に入れて勉強を進めることも方法かもしれません。
おすすめの参考書と教材
保育士試験に向けた参考書や教材は、書籍や動画など多々出回っていますが、必ず手にしたいのが過去の試験問題集です。何冊か読み比べて、解説が詳しくわかりやすいものを選びましょう。資料や図表が充実しているものもおすすめです。
費用はやや割高になりますが、通信講座も役立ちます。eラーニングなど動画を提供している講座も、わかりやすいのではないでしょうか。自身のライフスタイル、性格や好みに合わせて選んでみてください。
なお、実技も独学は可能ですが、自分の実力を客観的にはかることが難しい面かもしれません。スクールや実技対策のセミナーなどに参加することも検討してみましょう。
高校卒業以降の保育士としてのキャリアパス
ここで、高卒で保育士の資格を取り、その後、どのようにキャリアを積んでいくかについて考えてみましょう。
最初の就職先の決め方
保育士としてやりがいを持ち、成長する道筋を示したものを「キャリアパス」といいます。最初の就職先を決めるのであれば、キャリアパスを明確に提示できる園がよいでしょう。
キャリアパスが明確になっていると、保育士となった1年目はどのように働けばよいのか、さらにその後、自分にどのような役割が期待されているのかが、わかります。その経験は、事情があり転職することになった場合でも、役立つはずです。
キャリアアップの方法
保育士としてのキャリアアップは、国が処遇改善制度として実施している「キャリアアップ研修」を受けることで可能です。制度の要件をチェックし、自分なりのビジョンを持って保育に取り組むことで、キャリアパスもよりはっきりと思い描けるようになるでしょう。
なお、キャリアアップ研修の修了証は、転職でも役立ちます。機会があれば、ぜひ受けておきたい研修です。
高卒から保育士になることは可能!
お伝えしたように、最終学歴が高卒であっても保育士を目指すことは可能です。指定保育士養成施設を卒業する方法と、保育士試験を受験する方法があり、保育士試験は独学でも受けることができます。目指す試験日程から逆算して計画的に勉強を進め、資格取得を目指しましょう。保育士のキャリアアップは、国もバックアップしています。ぜひ、保育士として働き、キャリアを磨きましょう。