保育士でも「幼稚園免許」は更新するべき?更新方法やメリットとは
保育士として働いている方の中には、大学や短大・専門学校で幼稚園教諭の免許も取得したという方がほとんどではないでしょうか。その幼稚園教諭の免許ですが、更新しないと失効してしまいます。失効すると、幼稚園の先生として働きたいと思っても、働くことができません。だったら保育士でも、幼稚園教諭免許は更新しておいたほうがいいのでしょうか。更新するメリット、その方法についてお伝えします。
幼稚園教諭免許とは?
幼稚園は文部科学省の管轄で、学校教育法に基づいた教育を行う場とされています。位置づけとしては、小学校や中学校と同じということです。そのため、幼稚園で教員として働くためには「幼稚園教諭免許」を取得していなければなりません。
幼稚園教諭免許が取得できるのは、文部科学省が認可した大学や短期大学、専門学校など。最低でも2年の勉強、幼稚園での教育実習をこなし、すべてのカリキュラムを修了することが必要です。
保育士の資格も同じように学校で取得できます。ただ、保育園の管轄は厚生労働省であること、保育士の場合は、大学や短大に通わず独学であったとしても、国家試験に合格すれば資格を得られる点が幼稚園教諭との違いです。
なお、教員免許の更新制は、2009年4月1日より導入されました。もちろん幼稚園教諭も対象です。2009年4月1日以降に取得した幼稚園教諭免許の有効期間は10年となっていますので、資格を継続するためには更新の手続きが必要となります。
なお、2009年3月31日以前に取得した免許は、有効期間が定められていません。じゃあ、更新しなくていいのかといったら、そんなことはないのです。生年月日によって割り振られた修了確認期限にそって、更新のために実施される講習を受講・修了することが定められています。修了確認期限までに講習を修了したという確認が取れなければ免許は失効してしまうので、条件としては、2009年4月1日以降の取得者と同じなのです。
保育士でも幼稚園免許を更新したほうがいいの?
保育士として保育園で働く分には、幼稚園教諭免許を更新する必要は、特にはないと言えます。たとえ免許が失効しても保育士としての資格は継続しますし、保育園で働くことに支障が生じるわけでもありません。
しかし、近年は「認定こども園」のように、幼稚園と保育園を一元化する動きが進んでいます。これから先、保育業界や幼稚園教育がどのように変化していくかは、予測できないことといっていいでしょう。もしかしたら、両方の資格を持っていることが働く条件になる時代が来ないとも限りません。すでに、認定こども園法が改正され、新たに「幼保連携型認定こども園」が創立されています。
幼保連携型認定こども園は、学校教育および保育を一体的に提供する施設です。そのため、職員である「保育教諭」は、「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・ 資格を有していなければなりません。
このように新しい園が出てくることをそう考えると、たとえ今の仕事上は必要がないとしても、更新の手続きをして更新講習を受けておいたほうがいいのではないでしょうか。せっかく取得した資格です。ぜひ、将来に生かせるように準備をしておきましょう。
幼稚園教諭免許の更新講習は何をするの?
幼稚園教諭免許更新講習は、大学や教育委員会などが実施しています。講習の内容は3つの領域に分かれ、それぞれの規定時間をクリアすることが講習修了の条件です。
具体的な領域は下記の通りで、講習内容は受講先によって異なりますが、いくつか例を挙げてみます。
必修領域(6時間以上)
幼稚園、小学校など免許の種類に関係なく、更新手続きをする全員が受講しなければならない領域です。
テーマとしては「国の教育政策や世界の教育動向」「子どもの発達に関する脳科学や心理学分野における最新情報や知見」「子どもの生活、生活の変化に応じた課題」といったことが取り上げられています。
選択必修領域(6時間以上)
受講者が持っている免許の種類や、教職員としての経験などに応じ、開講されている講習の中からテーマを選んで受講するのが選択必修領域です。
たとえば、「貧困状況にある子どもの現状理解と支援について」というテーマで講義を受けた後、メンバーで討論の演習を行うという形式のものがあります。
選択領域(18時間以上)
設定された講座の中から、受講者が任意で選んだもの受講するのが選択領域です。幼稚園教諭対象の講座の中には「アジア・太平洋戦争を振り返って考える」というテーマもあれば、「幼稚園で起きる法的トラブルにどう対処するか」といったテーマも。幅広いテーマが用意されている領域となっています。
スケジュール的に難しい場合には?
講習は、免許の有効期間がきれる2年2カ月前から受講することができます。その間に合計30時間以上の講習を受けることになりますが、働きながら大学などに足を運ぶことは、難しい面もあるでしょう。また、通える場所で講座が開催されていないということもあるかもしれません。
そういった場合は、「eラーニング」を活用しましょう。eラーニングは、インターネットを通じて受講ができるシステムです。これなら、自宅で受講することができます。
仕事の都合に合わせて無理のないようにスケジュールを組み、コツコツと講習を受けることが、スムーズに更新手続きを終えるためのポイントです。
保育士の資格に期限はありませんが、幼稚園教諭免許の場合は更新しないと失効してしまいます。保育士として働くなら幼稚園教諭の免許は必要ありませんが、将来のことを考えると、ぜひ更新しておきたいところです。お伝えした内容を参考にして更新について検討し、時期がきたらぜひ手続きを進めていきましょう。