保育士に必要なスキルとスキルアップをするためにすべきこと
保育士に必要とされるスキルは、時代を経ても大きく変化していませんが、それでも時代のニーズに合わせて多少の変化はあると言われています。今、保育士に求められているのはどのようなスキルで、どのように身に着けることができるのでしょうか。今回は、保育士に必要なスキルと、スキルアップの方法について考えます。
保育士のスキルアップの重要性
保育士は国家資格であり、この資格を取得していれば、保育士施設での子供の保育や、保護者に対しての保育指導を行うことができます。保育士として働くだけなら、この資格さえ持っていれば十分と言っても過言ではありません。
しかし、近年では、保育士資格だけではなく、それ以外のスキルを身につけたいというニーズも増えています。そのようなニーズが増えてきたことの背景には、保育の方法やスタイルが、時代によって変化してきたからだと考えられます。働く女性が増える一方で少子化が進み、子供の個性をもっと伸ばしたい、一人ひとりに合わせた質の高い保育をして欲しい、将来に役立つ習い事をさせたい、といった要望を持つ保護者が増えています。こうしたトレンドに合わせて、今後は保育所や園の形態・サービス内容も変わっていく可能性があります。
保育士にはこのような時代の変化に、柔軟に対応していくことが求められます。保育士がスキルアップし、一般的な保育士とはまた違う能力も発揮できるようになれば、スキルを活かせる職場に移るなどして給与アップすることも望めます。それだけでなく仕事の領域も広がって、やりがいも増していくでしょう。
保育士に求められる能力とは?
では現在、保育士に求められるのはどのような能力なのでしょうか。まず全般的な能力から見ていきましょう。
コミュニケーション力
保育士は子供が何を感じ、何を求めているのかを常に把握し、理解するよう努めなければなりません。そのために子供と緊密なコミュニケーションを取ることが求められます。また一緒に働く保育士同士のコミュニケーションも欠かせません。
同時に、子供の保護者にも、子供の様子や保育所や園で起きた出来事などを伝達し、連絡を密に取る必要があります。保護者との信頼関係を築いていくには、さまざまな形でのコミュニケーションを通じて保護者のニーズをしっかりと理解し、対応していくことが求められます。
保育実技力
保育に関わる実技力を磨いていくことも重要です。音楽や絵画、粘土遊び、工作、言語・表現などの保育実技力は保育士にとって基本的なスキルですが、そのジャンルは幅広く、人によっては苦手なものもあるでしょう。一通りの保育実技力を身につけるには、現場での実践を通じて経験を積んでいくことも求められます。
体力
さらに基本的なことですが、保育士には体力も欠かせません。元気いっぱいの子供たちと付き合っていくのに、途中でスタミナ切れを起こしているようでは十分な保育はできません。
体力を維持するためには基礎体力づくり、規則正しい生活をすることが重要で、またメリハリをつけた働き方を心がけるなど、体力を上手に使うためのコツを会得する必要もあります。
保育士が高めていきたいスキルとその身につけ方
次に、前述した能力を高めるため、具体的にどんなスキルを高めていけばいいのかを説明します。
カウンセリングの技術
子供や保護者とコミュニケーションを取り、緊密な関係を作り上げていくには、カウンセリングの技術が役に立ちます。カウンセリング技術を学べば、相手の気持ちや考え、悩みなどを聞き出す技術、心を開かせる方法などを身につけることができるでしょう。潜在意識や深層心理についても造詣を深めることが可能です。
音楽や絵画
保育実技力の中でも、とくに重視されるのはピアノスキルでしょう。保育所や園の面接でもピアノの実技テストがあるケースが見られます。求人では一般的に「バイエル修了程度」のスキルを求められることが多く、楽譜が読めて、童謡などの定番曲を弾ける程度のスキルは必須です。
ただし、絵画や造形(粘土遊びなど)も同じですが、ただ技術的に上手いだけでなく、保育士には子供たちと一緒に楽しく歌える、一緒に絵を描いたり物を作ったりすることができる、ということのほうが重要です。保育実技を高める目的は、いかに子供たちと楽しい時間を過ごせるか、子供たちに音楽や絵画に興味を持ってもらうかという点にあることを忘れないようにしましょう。
言語・表現
子供たちに伝達事項を伝える、絵本や紙芝居などを読み聞かせる、喧嘩などのトラブルが起きたときに上手に叱るなど、さまざまなシーンで言語・表現を駆使する必要があります。また、正しくきれいな日本語を教えることも保育士の重要な役割です。さらに保護者に向けてもわかりやすい言葉遣いや表現ができるようなスキルを身につけることが求められます。
美しい字
保育士がパソコンなどを使う機会も増えていますが、保護者へのプリントや手紙などを手書きで書く機会もあります。また、園内に貼るポスターなどに字を書くこともあるでしょう。美しい字を書けることは意外に大きな評価ポイントになります。字に自信がないならペン字講座などを受講するのもいいでしょう。
英語力
保護者からの要望もあり、英語教育に取り組んでいる保育園が年々増えています。また外国人の子供が入園してくるケースもめずらしいことではなくなっています。英語力を持つ保育士は高く評価されるようになってきており、給与などにも反映されやすいスキルと言えます。
保育士がスキルアップをする際に挑戦してみるとよい資格
保育士が取得すると仕事の幅が広がるような資格も増えています。
例えば、リトミックという子供のための音楽教育手法の一つを教える「リトミック指導員」という民間資格があります。ピアノだけではなく、リズム遊びやダンス、歌などのレッスンを通して子供たちに音楽の楽しさを伝えたいというときに役立つでしょう。
「運動保育士」という子供たちに運動遊びを教える方法を取得できる民間資格もあります。松本短期大学の教授である柳沢秋孝教授が提唱する「柳沢運動プログラム」という養育方法を学ぶことができる資格で、これも保育士の仕事に活かせるかもしれません。
ただし、資格を取得したからと言ってすぐに給与アップにつながるわけではありません。資格は取得のみを目標にするのではなく、取得後に何ができるか、どんなスキルアップにつながるかを考えて挑戦することが大切です。
保育士が磨いていくべきスキルにはさまざまなものがあり、スキルアップにもさまざまな方法があります。上記を参考にして、子供や保護者に信頼される保育士を目指してください。